ビルメンテナンスとは?その業務内容や市場動向について解説
「ビルメンテナンス」と聞いて、ビルを管理することは理解できても、業務内容の詳細を理解している人は少ないのではないでしょうか?狭い土地を有効に使うために、日本のオフィス街にはビルが軒並み立っています。多くの人が利用しているビルのメンテナンスについて、興味がある方も多いことでしょう。
そこで今回はビルメンテナンスとは何か、また、どのような業務を行っているのかについて、市場の動向も交えながら解説していきます。
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ビルメンテナンスの主な業務内容について
ビルメンテナンスとは文字通り、ビルを適正に管理する仕事になります。対象となる建物は
- オフィスビル
- ショッピングモールなどの大型商業施設
- 駅・空港・病院などの公共施設
- ホテル・旅館などの宿泊施設
など、多岐にわたります。主な業務内容としては
- 衛生管理業務
- 設備管理業務
- 建物・設備保全業務
- 警備・防災業務
などが挙げられます。具体的にどのようなことを行っているのか、詳しく解説していきましょう。
衛生管理業務
ビルメンテナンスにおける衛生管理業務とは、「建築物環境衛生管理基準」に基づき、建物の中や屋外を衛生的に保つことを指します。具体的な作業としては
- ビルの屋内外の清掃
- 空調管理(屋内の温度管理)
- 水道の管理
- ネズミ・害虫の駆除
こういった内容が挙げられます。
ビルの清掃は床や外壁に使われている素材を考慮しつつ、適正な方法で清掃を行い、景観を美しく保つだけでなく、ビル内外を衛生的に保つことを目的としています。また、空調を管理し、室内の温度から粉塵・一酸化炭素・二酸化炭素の含有率、気流・ホルムアルデヒドの量などを定期的に測定。
更に屋内外に敷かれている水道の水質調査や、ネズミ・昆虫など、人の健康を害するおそれのある生物の防除までもが衛生管理業務として含まれます。
設備管理業務
設備管理業務とは、建物の設備や機器が正常に作動するかを定期的にチェックする作業のことです。対象となる設備は
- エスカレーター・エレベーター
- 電気・水道・ガス・空調
- 消火設備や警備設備
こういったものになります。
設備に不具合が生じればエレベーターに人が閉じ込められる、エスカレーターが突如止まってけが人が出る、火事が発生しても初期消火ができないなどの事案が想定され、ビルを利用する人たちの命も危険にさらされてしまうかもしれません。こういったことを未然に防ぐためにも、日々の設備管理業務を適正に行うことは、安全性を保つうえでかなり重要になります。
建物・設備保全業務
建物・設備保全業務は、設備管理業務と同じであるかのように捉えられがちですが、実際は違います。具体的に解説すると、日々の点検でビル設備全般をチェックする設備管理業務に対し、建物・設備管理業務は建築基準法で定められた定期点検や調査などを通じて、建物を長期的に保全する目的で行う業務のことを指します。具体的には
- エレベーターやエスカレーターの法定点検
- 屋根防水の劣化の有無
- 外壁タイルの亀裂や落下の危険性を確認する任意点検
こういった保全業務が挙げられます。日々の点検データをもとに、経年劣化が進む設備の切換や修繕を長期的スパンで計画し、建物を常にアップデートできるような体制を構築していくのが目的です。
警備・防災業務
ビルメンテナンスにおける警備業務とは、建物の入り口や防犯カメラで不審者が入り込んでいないかをチェックしたり、夜間に巡回して危険がないかを確認したりする業務になります。また、防災ブザーや防火シャッター、スプリンクラー設備の点検など、防火設備全般の定期チェックもビルメンテナンス業務に含まれます。
「人」から「AI」へ、様変わりするビルメンテナンス業界
それまで「人」による定期巡回や設備チェックが主体であったビルメンテナンス業務も、「AI」に移行しつつあります。理由としては
- 慢性的な人手不足
- 深夜業務、長時間労働を理由とする離職率の高さ
- 若年層の就職率低下
こういった項目が挙げられます。少子化問題が深刻化し、これから先の働き手も確保が困難であることが想定できることから、監視業務や点検業務にAIやIOT技術を導入し、人手不足を補い、警備員の作業を軽減しようとする動きがビルメンテナンス業界でも加速しています。
まとめ
多くの人が集うビルディングの衛生管理や設備保全、警備・防災管理を司るのがビルメンテナンス業務です。それはイコール、そこを利用している人たちの命を預かる、重要な業務であるといっても過言ではないでしょう。
しかし、ビルメンテナンス業界では人手不足が深刻化し、それを解消するために業務のAI化、IOT化が起こっています。建物の安全性を管理するためにビルメンテナンス従事者が何を行っているのか、そして業界で何が問題視されているのか、それはビルを日々利用している私達も知っておく必要があるかもしれません。